Google
 
【斎藤Site】 > ビデオデッキ構造解説(ソニー)SLV−FX5

【斎藤Site】ビデオデッキ構造解説(ソニー)SLV−FX5

 SONYのVHSです。長年、ベータを作りつづけていたSONYは、VHSに乗り遅れたせいか、メカの完成度はイマイチの気がします。この機種は自前のメカを搭載していますが、SONYがVHSを作りたての86年くらいの時期には、日立からメカをもらっていたようです。(もしかしたら開発したのは逆かも・・・)

外見


 こうやって見ると、ふつうのデッキです。SONYはジョグシャトルの部分が特殊で、極楽シャトルという、ジョグダイヤルが省略された物が付いています。シャトルリングがある分、無いよりかは全然ましですが。
ただしこれがかなり問題で、この1つのダイヤルですべての動作をこなせますよ、というコンセプトなので、本体には早送りや巻き戻しのボタンが付いていないのです。つまり巻き戻しをする際に、いちいち左にいっぱい回さなければ動作させることができず、これはとても不便です。ボタンを併設させるのが常識ってものでしょう。リモコンは、シャトルリングの滑り止め部分が少ない上に、回しにくいデザインなので、ほかのデッキで慣れている人にとっては、巻き戻しをするだけで回さなければならないのは非常に不愉快です。あと、SONYの特徴としては、早送り再生の時、ボタンを一度押しただけではロックしてくれないので、早巻き中はずっとボタンを押し続けることになります。そして少しでもボタンから手を離してしまったり、力を弱めて一瞬たりともリモコンデータが途絶えると、すぐに早巻き動作をやめてしまいます。これはかなり違和感があります。しかも巻き戻し時のモード切替がすごーーく遅い!なぜか一旦一時停止をしてから巻き戻し動作に変わるようです。いちいちキャプスタンをブレーキで押さえて、それからサプライリールを逆回転させ、それからキャプスタンを動かすと言う、なんともマヌケな仕様です。

 メカレスポンスのトロさは、全メーカーの中でも1位かもしれません。というか、レスポンスが超スーパー癖っけ仕様です。具体的には、ピクチャーサーチをすると、3倍モード時にて必ず前後25秒も送られてしまうのです。10秒とか、微少に送ることが出来ないのです。あとサーチをするときには上述のように単独のボタンがないので極楽シャトルを回すわけですが、これを一気にスパッと回さないと、意図していないモードに入ってしまいます。途中まで回したときに機能するはずのスローモーションや一時停止になり、そのときに不幸にもモードコントロールモーターがガチャッと動き始めるので、さらにレスポンスがトロくなります。さらに各種モードの動作後、次の動作へ切り替わるまでのインターバルが驚くべきことに1.5秒ほどあります。こんなデッキ、正直言ってまともに使ってられません。

SONY−VHSを気に入っているビデオオーナーの方は不愉快になってしまったかもしれませんが(ごめんなさい)、いろいろなデッキをいじり回して比較をした正直な結果をまとめたまでです。ちなみに自分はソニーという会社は好きです。ベータは初期も後期も好きです。初期VHSもまぁまぁ好きです。ベータの名機SL−HF900は今でも愛用しています。但しこの時期のVHSビデオデッキだけは、致命的なレスポンスの癖により好きになれません。

内部を公開

けっこう最近のモデル(とはいっても94年代ですが)なので、モジュール化が進んでおり、中身はスカスカです。基板はノーマル音声のモデルと兼用のようで、このモデルはハイファイなので音声処理部分などはパターンはそのままで部品が実装されないまま残されています。(写真右下のほう)その代わり、ハイファイのプロセス基板が縦に実装されています。

電源はスイッチング電源です。けっこうテレビにノイズを出すようです。室内アンテナを使っている方は要注意です。電源を入れた瞬間などに、特定のチャンネルの周波数帯にものすごいノイズを発生する場合があります。別のデッキで録画しているときにこうなると、ノイズも一緒に録画されてしまいます。

 

メカ表面

ソニー製の、極楽メカならず極悪メカです。なぜ極悪なのかは、実際にいじってみたり、メンテしたり、他社のデッキと構造を比べてみるとすぐにわかります。とにかくメンテがしにくいのです。ただし、もっと極悪なのは、実はこれらを制御するほうのファームウェアだったりします。

メカ裏面

メカ裏面です

ソニーが開発したと思われます。コストダウンのしすぎではないかと思います。メンテナンス性は最悪でしょう。なぜならば、裏面の写真を見てもわかるとおり、メカの裏側に基板がしっかりと張り付いているのです。半田で何個かの部品ををはずさない限り、取り外すことはできません。モード切替スイッチは基板に直接実装されており、メカの一部になっているため、単独の部品として交換することは不可能です。部品が壊れた際のテスター当ては出来ませんし、モード切替スイッチも、半田をはずさなければ交換できません。なぜこんなメンテナンスしにくい仕様にしたのでしょう。

これはメカとシスコンとのジャンクション部分です。ジャンパー線みたいな物でしっかりと止められてしまっています。メカをはずす作業も面倒だし、どこがおかしいのか検証をするときなどにメカを空中に浮かせたまま作業をすることが出来ません。フレームと一体にしてやらないとならないのです。

 

ローディングモーター

モード切替の直下にあるのはローディングモーターです。これは歯車を駆使しており、ベルトを使っていないので経年変化による劣化がないので、オイル切れになるまでは動作すると思われます。ここはこのメカの良いところです。ただしモーターが薄型のものを採用しており、貧弱な感があり、トルクも一般のデッキに搭載されている物よりも弱いようです。モーターコントローラにより、細かなチョッパー制御(トルクを維持しながら速度調整を可能とする)をしているようです。伝達方法をベルトではなく歯車にしたにもかかわらず、クラッチ機構が無いようで、メカ内部に物を詰まらせてしまった場合や、ハーフローディングが固着した場合、力の加減が出来なくなり、ローディングポストなどを力ずくで押し込んだり無理矢理戻そうとするので自分の出す力で自分自身や周辺部品、強度不足の歯車を次々と壊してしまいます。うーむ、かなりヤバい設計です。最低限、NECのように間にクラッチを入れておくべきでしょう。NECはベルトとクラッチの2重安全機構があります。

 

カセットハウジング

カセコンは割と良いような気がします。ですが統計上、右側と左側の歯車の位相がずれる故障が多いような気がします。これはローディングモーターと同じく、歯車機構を持っているにもかかわらずクラッチを搭載していないので、力が過剰に掛かった際の逃げ場が無くなっているためではないかと思います。故障品を分解したときに、右側のモーターが搭載されている部分が完全に割れている物もありました。

ベルトを使っていないのでベルトの弛みによる故障は皆無です。

下の写真はモーターの軸部分の拡大です。サービスマニュアルによると、故障したときにここを回せばカセットを緊急に取り出すことが出来るらしいです。これは良い工夫だと思います。ただし、実際にこれをやってみたところ、たしかにカセットを排出できましたが、回しているうちにくっついているグリスがほとんど指に付いてしまい、腹が立ちました(笑)。きちんと手袋をした状態で使う分には、非常に良い機能といえます。


プリアンプなど

ヘッドクリーニング機構を搭載。左側のフレキシブルケーブルは、ヘッドの信号をプリアンプまで送り込みます。ほかのメーカーと比べて、少々引き回しが長すぎる気がします。ヘッドクリーニングの材質は、ほかのメーカーと比べれば丈夫なほうです。

 

不具合第1弾

ここはソニーメカの頻出故障部分の拡大図です。ローディングアームは、回転軸の部分のオイルが長年使っているとオイル切れを起こしてしまい、完全に戻らなくなってしまってカセット取り出しの際にテープが絡んでしまいます。詳しくはこちら(珍言采さんの頁内リペアログSLV−P33を参照ください)に書いてあります。その下にある真っ白の歯車は、ハーフローディングアームやピンチローラーの圧着をしたり上下に動かすための物ですが、設計ミスによる強度不足により割れる確率が非常に高いです。テープ再生時などにピンチローラーをキャプスタンへ圧着させるためには、かなりの圧力を掛けることが必要で、こんな薄いギアで駆動してしまっては、割れてしまってもおかしくないです。

この部品はあまりに故障が多いので、今後のためにも部品番号をメモして手元に置いておくことにしました。これですぐに注文できます。ちなみに値段はたしか100円です。名称は勝手に自分で決めた物なので正式名称ではないと思います。袋の中に入っている物は、すでに割れている物です。これが割れると、アームが動かなくなり、ピンチローラーの奥側までテープを引き込むことが出来なくなり、一切のテープ引き回し動作が正常に機能しなくなります。

 

ピンチローラーの交換方法

注文したピンチローラー。

障害の発生したときのテープ。

ここでピンチローラーの交換方法を書きます。ピンチローラーがだめになると、たいていテープが上か下に寄ってしまい、エッジ部分がガイドポストに幅寄せさせられて、よれよれになります。

ちょっと見にくいのですがエッジの下部分がガタガタになっているのがわかるかと思います。こうなると、テープに記録されているノーマル音声かコントロールトラックのどちらかが読めなくなってしまい、テープの幅も微妙に変化するため、トラッキングがあわなくなり正常な再生が出来なくなります。特にコントロールトラックが読めなくなると、未録画テープと同じ扱いになってしまい、再生は出来ませんしテープカウンターも進まなくなります。デッキによっては未録画扱いにされるとブルーバック画面になってしまう物もあるので、そういったデッキの場合はお手上げ状態になってしまいます。こうなるとそのテープはもう使い物になりません。大切なテープを破壊してしまわないためにも、定期的にピンチローラーを交換することをおすすめいたします。上はソニーに注文したときの物です。部品代は700円です。ソニーは、他社によくあるような消耗部品メンテナンスキットのたぐいの物が存在しないようで、修理する際は部品をいちいちバラバラに注文しなければならないようです。

左が古い物。右が新しい物。

左は、長年使っていたためにテープの幅だけ凹んでいるのがわかりますか? それと、古いほうはテープの粒子がくっついてしまって表面が光っています。

上の欠陥写真のところにあるように、カバーをプラスドライバーを使って取り外します。そうするとこのようになります。

ピンチローラーをそのまま上に引っこ抜くと、すぐにとれます。ピンチローラーのメンテナンスのしやすさは非常に良好です。ただしこの機構は三菱ツインサーボメカのサル真似という気がするのだが・・・どうなんだろう。両者の交換方法はソックリです。どっちが先に採用したのかが気になります。ただし三菱は、上側ケースがEリングによる固定なので、実際の交換作業を比較すると、ソニーの方へ軍配が上がります。

取り外したら、軸部分に付いている古いグリスをティッシュペーパーでふき取り、そこに新たに新品のグリスを塗ります。自分は原付スクーターのウェイトローラー用で使っている、モリブデングリスを愛用しています。

この作業が終わったら、新しいピンチローラーを置いて元のように保護カバーをねじ止めして終わりです。意外と簡単でしょ!?

 

不具合第2弾

もうひとつの頻出重大故障個所。ハーフローディングアームを止めてあるナットが、長い間動かしているうちに少しずつ緩んできます。そうすると、右の写真のようにテープパスとの上下位置が合わなくなり、テープのエッジが痛んでしまってそのテープは死亡してしまいます。右の写真で、光っている部分がテープですが反射しているもの(数字の書いてあるシール)が歪んでいることがわかると思います。これはテープパスが曲がってしまった証拠です。このまま使い続ければ、再生しているカセットテープをすべて駄目にします。この重大な欠陥を手軽に補正することにします。

調整方法

使うのは、ナットを回す工具です。本当は専用器具やナット回しドライバーを使いたいところですが、専用器具はメーカーじゃないと持っていないし、ナット回しは滅多に使わないので(頻度としては年に1回程度?)使いたいときにはいつも何処かへ紛失してしまっています。いかんなぁ。で、今回たまたま使えたのが、左のバイク用ラチェットレンチセットの小型ナット回しです。ラチェットハンドルなんてくっ付ける必要はありません。そんな大きな力を加えてしまっては、フレームが歪んでしまいます。この場合は延長バーを手で持ち、そのまま回していって調整することにします。

左下の写真は、実際に調整しているところです。要らないテープを入れて、傷が付かない領域までおおまかに調整します。通常このナットは、締め付けられることはなく緩む場合が大半なので、テープパスがいかれてしまった場合には、締め付ける方向に回していきます。なお、一旦ナットを取り外して、ネジロック剤を塗っておけば、再発しなくなります。ただし塗る際は、下のほうまでいかないように注意します。軸の下までロック剤が行ってしまうと、こんどはアームがロックされます(笑)・・・本末転倒なのでコレには注意して下さいね。ついでに下の方にグリスを塗っておけば動きも良くなりますので、いまは正常に動いているとしても、いずれは渋くなりますのでついでにやっておいた方がいいと思います。

調整完了!

こちらは、テープパスが正常に調整された後の写真です。テープの反射している画像(数字の書いてあるシール)が、キレイに映っているのがわかりますか。これが、テープが曲がっていない正常な状態です。再生中に巻き戻しをすると調整精度がシビアになりますので、巻き戻しの時にもずれないようにきちんと調整しておけば、完璧といえるでしょう。

 

リモコンと予約機能

正常なとき。

再生ボタンのプラスチックが割れてしまい、
セロテープで暫定的に修復したボタン。

こちらはソニーの付属リモコンです。ほとんどの機種の極楽シャトルのボタンが、壊れやすいようです。あと、上に付いている2重構造のフタを閉めているかどうかのセンサーが誤動作(接触不良)を起こし、フタが閉まっているにもかかわらずしまっていないと誤認識してしまうようです。数個のリモコンでこのトラブルに遭遇したので、出荷全体数からするとかなりの不良数になると思われます。

予約は、全メーカーの中でもかなり使いやすい部類だと思います。ボタンを左から順番に押していけば操作は完了し、あとは転送ボタンを押すだけです。直感的にわかり、ソニーのVTRでもここだけはかなり気に入っています。やはり予約に関するボタンは多い方が操作性は良くなります。昔のシャープなんて、進む・戻る・決定の3個しかないですから(笑)

 

ドラム

  再生しているときに、常にキリキリという高い音がする場合は、ここの軸受け部分がすり切れてしまっていることが考えられます。アームをまるごと交換するのがメーカーの基本的な修理方法ですが、ここに堅めのオイルをほんの少しだけ垂らしてやると、完全に鳴りやんでしまいます。しかもこのまま1年〜2年くらいは持ちます。これはぜひオススメな修理方法です。写真のように、マイナスドライバーの先にオイルを付けて、それを軸受け部分にくっ付けるだけで十分な効果が現れます。オイルの付けすぎは、オイルをメカ全体にまき散らされたりしてトラブルの元になりますので避けましょう。なおこの修理方法は、全メーカーに応用が利きます。特に東芝のVTRはこの異音が多いようなので効果テキメンです。



Google
 
【AV】www.saitosite.com/av/sony_slvfx5.html
HTML出力時刻:20180119-010135
このサイトに関する質問や、記事の訂正案など、ご意見ご感想をお待ちしております。
お名前
メアド(省略可) 返答が必要な場合にお書きください
メッセージ
添付ファイル 見せたいファイルがあれば添付してください。
(アップ可能拡張子:jpg,gif,jpeg,zip,png,txt,lzh)

無断転載禁止 Copyright 1999-2007 サイトウサイト All rights reserved.